ラボ型オフショア開発を検討する際の懸念点

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ラボ型オフショア開発サービスとは、海外の外国人エンジニアを開発チームのメンバーとして期間契約で迎えるサービスです。
基本的にはブリッジエンジニアを含め外国人との直接のやり取りになるため、様々な懸念点があると思いますが、その中でもご相談いただくことが多いのは下記の4点です。

現地との意思疎通が難しいのではないか?

まず一番最初に思いつくのは、外国人との意思疎通の難しさではないでしょうか。
『仕様や要件を正確に伝えられるだろうか?』『翻訳された言葉は正しいのだろうか?』『何を考えているのか分からなくて不安。。』などなど、オフショア開発を検討する際にコミュニケーション面で不安に思うことは少なくないかと思います。

当たり前ですが日本人と外国人とでは、日本人相手の方が意思疎通は容易だと思います。しかし、日本人相手でもコミュニケーション面で問題になることがない訳ではありません。例えば、皆さんも指示書やメールの内容を見て、主語や目的語の省略が多く『これは何について話しているのだろうか…?』『あの点についての記述だと思うけど一応確かめておこうかな…』と思った経験はありませんか?

原因の一つとして日本語が世界でもっともハイコンテクストな言語であることが挙げられます。

ハイコンテクストとは?
ハイコンテクスト文化(高文脈文化)のコミュニケーションとは、実際に言葉として表現された内容よりも言葉にされていないのに相手に理解される(理解したと思われる)内容のほうが豊かな伝達方式。
出典:エドワード・T・ホール『文化を超えて(英語版)』

wikipedia より転載

日常会話であれば、勘違いしても『あぁそっち?』で良いかもしれませんが、仕事の要件定義や指示に関することではそうはいきません。そのため話し言葉とは異なる、出来る限り主語や目的語、対象等が明確な文章作成は日本人同士のコミュニケーションでも重要だと思います。

試しに、Google翻訳で普段使われている日本語を翻訳してみると分かりやすいですが、IとYou、He(She)やThey等の主語と、MeやYou、It、Thatなどの目的語はかなり不正確ですし、AIでもこの辺りの日本語の聞き分けはかなり難しいようです。
しかし、前述のように少しだけ丁寧な言葉選びをすれば翻訳ツールの精度もかなり上がりますので、外国人とのコミュニケーションのハードルは大分下がるのではないかと思います。まずは我々が常日頃使っている日本語の特徴や、メリットデメリットなどを見つめなおすことも重要ではないでしょうか。

中進国全体の人件費の高騰

オフショア開発で人気の国は、ベトナムに限らず東南アジア、南アジア、東ヨーロッパなどほぼ中進国に分類されます。

中進国 (ちゅうしんこく)
発展途上国から脱し、先進国に至る途上にある国。

大和証券 金融・証券用語解説 より転載

オフショア開発は、IT分野に限らず海外と日本の人件費(物価)のギャップからコストメリットを生み出すのが目的の一つなので、当然その傾向は強くあります。
しかし、昨今の中進国の発展速度の速さと、昨年からの急激な円安進行も相まってコストメリットは年々少なくなっているのが現状です。
特に私が生活しているホーチミン市は日々目に見える速さで発展しています。様々な新しいサービスが生まれ、もはや日本とさほど変わらない生活も可能です。これは同じ東南アジアのジャカルタやバンコクなどにも言えることだと思います。

IT分野におけるベトナム人の優秀さは別記事でも言及しましたが、IT人材の供給元になるためには、インフラや教育、勤勉さなど様々なハードルがあります。IT分野、プログラミングに関しては機械化はまだまだ難しく人に依存する部分が大きいため、どんどん所得の低い国へ移っていけば良い。と言う訳にはいかないのが現状です。

また、昨今マグロや牛肉などの食料が海外で仕入れ競争に負けているというニュースを目にすることが増えているかと思いますが、実はIT人材に於いても同様です。優秀な人材ほど欧米や中国などの企業に引き抜かれる状況が増えています。
今後も日本、世界でIT分野の開発需要自体が減ることは考えにくいため、オフショア開発の需要も減ることはないかと思います。そのため、逆に日本側のビジネスモデルや提供コスト、サービスの利用方法なども少しづつ変えていく必要があるのではないかと思います。

契約期間の長さ

契約期間の長さはオフショア開発を検討する際に懸念点としてあげられることが多いです。
コストメリットを最大限生かすためには、常に契約したエンジニアが稼働できるようにタスクを追加し続けなければいけません。
日本ではWeb開発分野でも繁忙期、閑散期が存在する場合もありますので、閑散期に遊ばせておくのはもったいないし、定期的にプロジェクトを用意できないかもしれない…。と思われる方も多いのではないでしょうか。

ラボ型オフショア開発は、ほぼすべての提供元がリソースとなるエンジニアを雇用してるかと思いますが、例えばベトナムでは労働法により最長2ヶ月の試用期間後は、基本1年単位の雇用契約となるため、例えば3カ月だけ、半年だけという需要にお答えしにくいのが実情ではないかと思います。

では、実際契約期間は短い方が良いのかというと、個人的には一概にそうとは思いません。
事業を行う上で、年単位で予算や売上目標を設定されることが多いかと思いますので、そこに組み込む選択肢としてオフショア開発を捉えるのであれば、半年や1年の契約は当然かなと思います。

今そこにある課題を解決するためだけであれば、日本国内で外注された方が良いです。
全てのケースにお勧めできるわけではありませんが、社内の制作体制を構築する際の1ピースとして考えると、選択肢は社員採用か契約社員かSESかオフショア開発になるかと思いますので、その中ではオフショア開発は飛びぬけて安価なサービスと言えます。

また、直接雇用と違い一定期間での解約で法務面で問題になることがない点もメリットかと思います。

日本とのホスピタリティの違い

日本国内で外部のパートナー様にプロジェクトの対応を依頼する場合、当たり外れ、合う合わないはあるかと思いますが、傾向としてはホスピタリティの高い方が多いように思います。私も過去に様々なパートナー様とプロジェクトの進行をしてまいりましたが、特に長くお付き合いさせていただいている方はまさしくかゆいところに手が届くような対応をしていただくことが多かったです。しかし、それらは長いお付き合いの中で醸成された関係性というところが大きかったようにも思います。

弊社スタッフを含むベトナム人の傾向としては、正直言われなければやらないという傾向が非常に強いです。この辺りはやってもらって(理解出来て・想定して)当たり前なんだけどなぁと思うことも少なからずありました。また、日本人であれば意図を汲んで様々な+αを提示いただけることもありますが、ベトナム人相手では言語の壁もあってか叶わないケースはもちろんあります。

しかしながら、長く一緒に仕事をしているベトナム人スタッフの中には、様々なサポートと気づきを与えてくれるスタッフも多くいます。日本人に限らず、密にコミュニケーションを取り、何故そう思うのか、何故そうしたいのか、何故そうなるのかなど細部まで説明と報告をすり合わせることで、より良い関係性を築けるのではないかと思います。
前述の契約期間にも通じることですが、一朝一夕でそういった関係性を築くのは難しいため、ある程度計画的に長期間でチームビルディングを行う際は、少なくてもベトナムでのラボ型オフショア開発は良い選択肢だと思っています。


以上です。

いかがでしたでしょうか?
ラボ型オフショア開発を検討する際に、一般的にデメリットとされる点を挙げてみましたが、それらは一概にデメリットとは限らないように思います。

本記事をお読みいただきベトナムでのオフショア開発にご興味がございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

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